
今回は、管理人まいんが住むフランクフルトの魅力を紹介します。フランクフルトは欧州金融の中心地であり、ヨーロッパ最大級のハブ空港「フランクフルト空港」、ドイツ最大級のターミナル駅「フランクフルト中央駅」、そして世界有数の見本市会場「メッセ・フランクフルト」を擁する国際都市です。
多くの旅行者が“経由地”として通過してしまう街ですが、実は効率よく観光できる見どころが凝縮されています。この記事では、観光はもちろん出張の合間にも楽しめる「フランクフルトの街歩きモデルコース」をご紹介します。

この記事のために、はりきって街に出て沢山写真を撮ってきました。
楽しんでくださいね。
フランクフルトの歴史|神聖ローマ帝国の自由都市として栄えた街
カール大帝が名を記した古都の起源
フランクフルトの名前が記録に登場するのは794年。カール大帝の時代にその名が文書に残されています。中世以降は神聖ローマ帝国の重要都市として発展し、皇帝の選挙や戴冠式が行われた場所としても知られています。市内には当時の面影を伝える「カイザードーム(大聖堂)」が今も残り、フランクフルトの歴史を静かに物語っています。

自由都市としての繁栄
中世以降、フランクフルトは「自由都市」として自治を許され、商業と金融の都市として独自の発展を遂げます。定期的に開催された見本市(メッセ)は、今日の「メッセ・フランクフルト」に受け継がれ、世界最大級の展示会場として今もその伝統を残しています。

👉 もっと詳しいドイツの歴史に関しては [ドイツの歴史カテゴリー]をごらんください。
モデルプラン:フランクフルト観光ルート
以下は、現地在住の筆者が実際に歩いてまとめたフランクフルト観光ルートです。どちらも半日を目安に設定しています。滞在時間に合わせて、ルートA(旧市街中心) または ルートB(美術館・博物館エリア) を選んでください。
ルートA(旧市街中心コース)
- ゲーテハウス (Goethe-Haus)
- ゲーテモニュメント (Goethe-Denkmal)
- 旧オペラ座 (Alte Oper)
- ツァイル通り (Zeil)
- フランクフルト大聖堂 (Frankfurter Dom)
- パウロ教会 (Paulskirche)
- レーマー広場 (Römerberg)
ルートB(マイン川沿いアート&カルチャーコース)
- レーマー広場 (Römerberg)
- フランクフルト歴史博物館 (Historisches Museum Frankfurt)
- 鉄の橋 (Eiserner Steg)
- 応用芸術博物館 (Museum Angewandte Kunst)
- ドイツ映画博物館 (Deutsches Filmmuseum)
- シュテーデル美術館 (Städel Museum)
観光スポットガイド|フランクフルト旧市街を歩く
ルートA(旧市街中心コース)
ゲーテハウス (Goethe-Haus)
フランクフルトが生んだ文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの生家です。1749年にここで誕生したゲーテは少年期から青年期にかけてこの家で暮らし、その後も度々訪れています。第二次世界大戦で焼失後、戦前の姿に忠実に再建され、館内では当時の家具や調度、ゲーテが執筆した書斎などを見学できます。
また、隣接する「ドイツ・ロマン派博物館(Deutsches Romantik-Museum)」と一体で運営され、絵画や関連資料も展示されています。文学好きには外せない場所です。
Frankfurter Goethe-Haus: Großer Hirschgraben 21, 60311 Frankfurt am Main
ゲーテハウスの公式サイト(英)

ゲーテモニュメント (Goethe-Denkmal)
ゲーテ通りとハウプトヴァッヘの間、ゲーテ広場(Goetheplatz)に立つ、文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテを讃える記念像です。
1844年に設置され、フランクフルト出身の偉人を象徴するモニュメントとして、市民や観光客に広く親しまれています。現在も写真映えするスポットとして人気があり、ショッピング街へ向かう途中に立ち寄りやすい場所です(ちなみに、広場の反対側にある像は活版印刷で有名なグーテンベルクです)。
Goethe-Denkmal: Goetheplatz 60313 Frankfurt am Main

旧オペラ座 (Alte Oper)
1877年に開館した歴史的建築で、第二次世界大戦の空爆により大きく損壊しましたが、地元市民の寄付によって再建され、1981年に再オープンしました。現在はオペラ公演に限らず、クラシックやジャズのコンサート、講演会、式典など多彩なイベントが行われる多目的ホールとして親しまれています。正面の広場では噴水(ルチア噴水)が美しく、晴れた日には市民や観光客がベンチでくつろぐ姿も見られます。
Alte Oper Frankfurt: Opernplatz 60313 Frankfurt am Main
旧オペラ座の公式サイト(英)

ツァイル通り (Zeil)
フランクフルト随一のショッピングストリート。ショップやカフェが並ぶ賑やかなエリアで、観光の合間に休憩したり、カフェでひと息入れるのに最適です。通りの中ほどには、近未来的な外観が目を引くショッピングセンター「My Zeil(マイツァイル)」があります。地下にはスーパーがあり、飲み物やおやつをここで買えば観光地よりも手頃に済ませられます。

フランクフルト大聖堂 (Frankfurter Dom)
正式名称は聖バルトロメウス大聖堂。ゴシック様式の壮大な建築で、神聖ローマ帝国時代には皇帝の選挙や戴冠式が執り行われました(1356年の金印勅書で選挙都市に指定)。塔の展望台からは旧市街やマイン川を一望でき、フランクフルトの歴史を肌で感じられます。併設の博物館では聖具や美術品なども見学できます(有料)。
Frankfurter Dom: Domplatz 14, 60311 Frankfurt am Main
フランクフルト大聖堂の公式サイト(独のみ)

パウロ教会 (Paulskirche)
レーマー広場のすぐそばに建つ円形の赤レンガ造りの建物です。1848年には、ドイツ全土の代表が集まり最初の全国議会「フランクフルト国民議会」が開かれた場所として知られています。現在は礼拝の場ではなく、展示会や記念式典などの公共イベント会場として使用されています。内部では当時の議場を再現した展示を見ることができます。
Paulskirche: Paulsplatz, 60311 Frankfurt am Main
パウロ教会の公式サイト(英)

レーマー広場 (Römerberg)
レーマー広場(Römerberg)は、中世の雰囲気が残る旧市街の中心広場で、フランクフルトを代表する観光名所です。木組みの建物が並び、三連の屋根を持つ市庁舎「レーマー」が象徴的な存在です。第二次世界大戦の空爆で周囲の建物はほとんど焼失しましたが、戦後に外観が忠実に再建され、往時の街並みがよみがえりました。
クリスマスマーケットの会場としても有名で、周辺には伝統的なドイツ料理のレストランも多く、季節を問わず多くの人々でにぎわうフランクフルト観光の中心スポットです。
🍽️近辺のお勧めレストラン Zum Standesämtchen お手頃価格でドイツ料理が楽しめます。

🔸ルートA関連スポット 入場料・営業時間まとめ(2025年11月現在)
| スポット名 | 入場料 | 営業時間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ゲーテハウス | 12€ | 10:00〜18:00 | 博物館併設 |
| フランクフルト大聖堂 | 無料(大聖堂) 3€(塔) 4€(博物館) | 大聖堂: 9:00〜20:00塔:こちらを確認 博物館: 10:00〜17:00(月休館) | 天候により塔の入場制限あり |
| パウロ教会 | 無料 | 10:00〜17:00 | 展示・イベントにより変動あり |
| レーマー広場 | 無料 | 屋外/常時見学可 | 周辺レストラン多数 |
観光スポットガイド|マイン川沿いアートと文化を巡る
ルートB(マイン川沿いアート&カルチャーコース)
フランクフルト歴史博物館 (Historisches Museum Frankfurt)
レーマー広場の南側に位置し、フランクフルトの過去から現在までの都市史を総合的に紹介する博物館です。中世から現代に至る出来事や人物を通じて街の変遷を辿れます。展示は模型・写真・映像・収蔵品で立体的に構成され、常設の約70㎡の巨大都市模型は見どころの一つです。
館は中世以来のサールホフ(旧建物群)と、2017年に開館した新館から成り、敷地内の通路・ガラスの接続部で一体的に巡れる設計です。館内にはカフェも併設。
Historisches Museum Frankfurt: Saalhof 1, 60311 Frankfurt am Main
フランクフルト歴史博物館の公式サイト(英)

鉄の橋 (Eiserner Steg)
マイン川に架かる歩行者専用の橋で、旧市街とザクセンハウゼン地区を結んでいます。橋の上からは、川越しにフランクフルトのスカイラインを一望でき、夜景撮影の定番スポットとしても人気があります。欄干には恋人たちの南京錠が数多く掛けられており、観光客や地元の人々でにぎわうフォトスポットです。

応用芸術博物館 (Museum Angewandte Kunst)
鉄の橋を渡ってすぐ、マイン川南岸に建つ白いモダンな建築が応用芸術博物館(Museum Angewandte Kunst)です。家具、デザイン、ファッション、写真など、「日常に息づくアート」をテーマとした展示が特徴です。時代ごとのライフスタイルや美意識を、空間構成とともに体感できる内容となっており、建築自体も見どころの一つです。館内にはレストランもあります。
Museum Angewandte Kunst: Schaumainkai 17, 60594 Frankfurt
応用芸術博物館の公式サイト(英)

ドイツ映画博物館 (Deutsches Filmmuseum)
映画の歴史と技術を楽しく学べる博物館。初期の映写機や名作映画のポスター、撮影セットの模型などが展示されており、映像文化に興味がある方におすすめです。体験型の展示も多く、子ども連れの観光にも人気があります。カフェ併設。夜には館内シアターで特別上映が行われることもあります。運営はDFF(Deutsches Filminstitut & Filmmuseum)で、ドイツの映画研究とアーカイブ活動の拠点にもなっています。
DFF – Deutsches Filminstitut & Filmmuseum: Schaumainkai 41, 60596 Frankfurt am Main
ドイツ映画博物館の公式サイト(英)

シュテーデル美術館 (Städel Museum)
ドイツを代表する美術館の一つで、ルネサンスから現代アートまで約3,000点の名作を所蔵しています。レンブラント、フェルメール、モネ、ピカソといった巨匠の作品に加え、ドイツ近代絵画のコレクションも充実しています。屋上に上がってフランクフルトのスカイラインを眺めることができます。カフェとレストラン併設。美術館内はフリーWIFIが使えます。
Städel Museum: Schaumainkai 63, 60596 Frankfurt am Main
シュテーデル美術館の公式サイト(英)

🔸ルートB関連スポット 入場料・営業時間まとめ(2025年11月現在)
| スポット名 | 入場料 | 営業時間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| フランクフルト歴史博物館 | 8~12€ | 11:00〜18:00(月曜休館) | 街のジオラマ展示が人気・カフェ併設 |
| 鉄の橋 | 無料 | 屋外/常時見学可 | 夜景スポットとしても人気 |
| 応用芸術博物館 | 14€ | 10:00〜18:00(月曜休館) | 企画展あり・レストラン併設 |
| ドイツ映画博物館 | 8~14€ | 11:00〜18:00(月曜休館) | 子ども向け体験展示あり・カフェ併設 |
| シュテーデル美術館 | 18€ (火曜日15時~18時まで 9€) | 10:00〜18:00(木曜〜21:00) | 特別展により変動あり・カフェ/レストラン併設 |
フランクフルトから訪ねる近郊の街|ドイチュランドチケットで日帰り旅
フランクフルトを拠点に、ドイチュランドチケット(Deutschlandticket) を使えば、周辺の街へも気軽に日帰り旅行ができます。月額58ユーロ(2026年から63ユーロ)でドイツ全国のローカル列車やバスが乗り放題のチケットで、フランクフルトから片道1~2時間以内でも魅力的な街がいくつもあります。
詳しくは、👉 [Deutschlandticketは旅行者も使える?購入方法・注意点まとめ] をご覧ください。
マインツ (Mainz)
フランクフルト中央駅から S-Bahnで約40分。活版印刷の発明者グーテンベルクの故郷として知られています。市内中心部の「グーテンベルク博物館 (Gutenberg-Museum)」では、15世紀の印刷機や聖書の初版本を間近で見ることができます。マインツ大聖堂 (Mainzer Dom) の重厚なロマネスク建築も見応え十分。
ハーナウ (Hanau)
フランクフルト中央駅からSバーンで約30分。童話で知られるグリム兄弟の生誕地として有名です。市の中心には兄弟の銅像が立つマルクト広場があり、毎年夏に開催される「グリム童話フェスティバル」では、童話の世界をテーマにした舞台やパレードが行われます。
ハイデルベルク (Heidelberg)
フランクフルト中央駅から鉄道で約1時間半、RB 68 なら乗り換えなしです(ドイチュランドチケットはICやICEは乗れないので注意)。ネッカー川沿いの旧市街と丘の上にそびえるハイデルベルク城の景観はまさに絵画のよう。哲学者の道から眺める赤い屋根の街並みも人気です。
👉 詳しくは [ハイデルベルク観光ガイド|学生の街とロマンティックな古城の魅力] をご覧ください。
🏰ドイツ各地の観光スポットや街歩きコースは、他の記事でも紹介しています。人気都市から歴史ある町まで、現地在住の筆者がまとめた旅行ガイドを掲載しています。ぜひ[ドイツ観光案内カテゴリー]もあわせてご覧ください。
まとめ
金融・ビジネス都市の印象が強いフランクフルトですが、実際には歴史と文化が身近に感じられる街です。旧市街やマイン川沿いを歩けば、過去と現在が穏やかに共存していることに気づくでしょう。
気が付けば、人生の半分近くをこの街で過ごしている私。歴史博物館で過去のフランクフルトに触れるとなぜか涙が出そうになるので、きっといつかの時代にこの街に住んでいたのでしょう。

私の大好きなフランクフルトの魅力を少しでも感じていただけたら幸いです。



