ドイツのペット事情を解説|犬税・登録制度・ティアハイムとは?

窓辺に座る2匹の猫の写真 ドイツ生活と文化
ドイツの猫たち(筆者撮影)

ドイツは「動物愛護先進国」として、日本でもよく知られています。私も猫を2匹飼っていますが、ペットを迎える仕組みや管理制度には、日本とは異なる点が多くあります。今回は、犬税や登録制度、ティアハイムの役割などを通して、ドイツのペット事情の「今」を解説します。

まいん
まいん

この記事に載せている写真は全てうちの猫なんですよ。

街中で見かける犬たちの光景

ドイツの街を歩いていると、犬の多さに驚くかもしれません。大型犬が当たり前のように電車やトラムに乗り、カフェでは飼い主の足元で静かに横になっています。

さらに印象的なのは、リードをつけずに散歩している犬の姿です。公園や住宅街では、飼い主のそばを落ち着いて歩く大型犬を見かけることも珍しくありません。もちろん地域や状況によってルールはありますが、犬と人との間に強い信頼関係があることが感じられます。

犬は単なるペットというよりも、家族の一員として社会に溶け込んでいる存在です。こうした日常の光景からも、ドイツのペット文化の一端が見えてきます。

統計で見る|ドイツで最も人気のペットは?

では、実際にドイツではどんな動物が多く飼われているのでしょうか。

2025年に発表された業界調査(IVH/ZZF)によると、2024年時点でドイツの家庭で飼われているペットの総数は約3,390万匹。家庭のおよそ44%が、何らかのペットと暮らしていると報告されています。出典:IVH/ZZF「Heimtiere in Deutschland 2024」(2025年発表)

中でも最も多いのは猫で、約1,590万匹。およそ4世帯に1世帯が猫を飼っている計算になります。続いて犬が約1,050万匹とされており、こちらも非常に高い割合です。

抱き上げられた猫の写真
やっぱり猫が人気!(筆者撮影)

街中で犬をよく見かける一方で、統計上は猫のほうが多いというのは興味深い点です。室内で飼われることが多い猫は、外からは見えにくい存在ですが、ドイツでは最も人気のあるペットとなっています。

ペットはどこから迎える?ドイツの特徴的な仕組み

ドイツでは、日本のように生体販売を中心としたペットショップを街中で見かけることはほとんどありません。ペットを迎える方法には、いくつかの代表的なルートがあります。

ティアハイム(Tierheim)から迎える

ドイツ各地には「ティアハイム」と呼ばれる動物保護施設があります。事情があって飼えなくなった動物や、保護された犬や猫が新しい飼い主を待っています。

譲渡の際には、飼育環境や生活状況について確認が行われることも多く、誰でもすぐに連れて帰れるわけではありません。動物を「買う」というより、「迎え入れる」という考え方が強いのが特徴です。

登録ブリーダー(Züchter)から迎える

特定の犬種や猫種を希望する場合は、登録されたブリーダーから迎えるケースもあります。ブリーダーは繁殖や飼育環境について一定の基準を守ることが求められており、事前の面談や説明が行われることも一般的です。

衝動的な購入が起こりにくい仕組み

こうした仕組みによって、ショーウィンドウで見て衝動的に購入する、という形は少なくなっています。ペットを迎えるまでに一定の手順があることが、ドイツの特徴の一つと言えるでしょう。

PCの前に座る子猫の写真
筆者がスイス近くまでお迎えに行った子猫(筆者撮影)
まいん
まいん

私の猫たちは、ブリーダーさんから直接譲り受けました。うち1匹は、スイス国境近くまで電車でお迎えに行ったんですよ!「信頼してからでないと譲渡出来ない」と言われ、何度も事前にやり取りをし、契約書もきちんと交わしました。

ドイツでペットを飼うときの義務

ドイツでは、ペットは「かわいい存在」であると同時に、社会の中で管理される存在でもあります。特に犬を飼う場合には、明確な義務が定められています。

犬を飼う場合

  • 自治体への登録義務
  • 犬税(Hundesteuer)の支払い
  • 多くの州でマイクロチップ装着が義務
  • 狂犬病ワクチンなどの接種・管理

犬を飼うと、市役所への登録が必要になり、毎年犬税を支払います。税額は自治体によって異なりますが、都市部では比較的高めに設定されていることもあります。

また、マイクロチップの装着やワクチン管理も重要なポイントです。州ごとに細かな規定は異なりますが、犬は「誰が飼っているか」を明確にできる仕組みになっています。

猫を飼う場合

  • 犬税のような税金は基本的にない
  • 地域によっては屋外猫の去勢・避妊を義務化する条例あり
  • マイクロチップは推奨されることが多い
  • ワクチン管理は飼い主の責任

猫の場合、犬ほどの登録義務はありませんが、自治体によっては繁殖を防ぐために去勢・避妊を義務づけている地域もあります。

ドイツのペット用ワクチン手帳の実物写真
ネコのワクチン接種を記録する ワクチン手帳 Impfpass 実物(筆者撮影)
まいん
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私の猫も定期的にワクチン接種を受けており、獣医師のスタンプが記載されたワクチン手帳(Impfpass)を保管しています。こうした管理は法律以前に、飼い主の責任として当然のものと考えられています。

なぜドイツでは野良犬・野良猫をほとんど見かけないのか

ドイツの街で野良犬や野良猫を見かけることは、ほとんどありません。その背景には、いくつかの法的・社会的な仕組みがあります。

原則として「数を減らすための殺処分」は行われない

ドイツでは、行政が保護した健康な動物を「頭数調整のために処分する」という制度はありません。ティアハイム(動物保護施設)では、保護された動物をできる限り譲渡する方針が取られています。

もちろん、重い病気や苦痛がある場合に安楽死が選択されることはありますが、「収容数を減らすための殺処分」という考え方は存在しません。

動物の遺棄は明確な違法行為

ドイツ動物保護法(Tierschutzgesetz)では、動物を遺棄することは禁止されています。違反した場合は高額の罰金が科され、悪質なケースでは刑事責任を問われる可能性もあります。

動物を路上に放すことは、単なるモラルの問題ではなく、法律違反です。こうした明確な罰則が抑止力として機能しています。

仕組みが連動している社会

さらに、マイクロチップの普及によって迷子は飼い主のもとに戻りやすく、繁殖を抑えるための去勢・避妊の取り組みも広がっています。

一つの制度だけでなく、「遺棄を許さない法律」「行き場をつくる保護施設」「迷子を戻す仕組み」が組み合わさることで、野良犬や野良猫が発生しにくい社会構造が形づくられているのです。

おわりに ― ドイツで猫2匹と暮らして感じること

ドイツで猫2匹と暮らしていると、ペットは単なる「かわいい存在」ではなく、社会の中で守られ、同時に責任を伴う存在として扱われていることを実感します。

犬税や登録制度、遺棄への罰則といった仕組みは、一見すると厳しく感じられるかもしれません。しかしその背景には、「動物も守られるべき存在である」という前提があり、社会全体でその考え方を支えているように思えます。制度が整っているからこそ、安心してペットと暮らせる社会があるのですね。

まいん
まいん

となりで穏やかに眠る猫たちの姿を見ながら、この記事を書きました。ドイツのペット事情の「今」が、少しでも伝われば幸いです。

EUペットパスポートとは?

ドイツでは、ペットを国外へ連れて行く場合に EUペットパスポート(EU-Heimtierausweis) が必要になります。

これは、EU加盟国への移動はもちろん、日本を含む第三国へ渡航する場合にも求められる公式書類です。パスポートには、マイクロチップ番号や狂犬病ワクチンの接種記録などが記載されます。いわば、ペットのための「渡航用健康証明書」のようなものです。

必要な場合は獣医さんに依頼すれば作成してもらえます。

ドイツのペット用EUパスポートの実物写真
ドイツのペット用EUパスポート実物(筆者撮影)

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この記事を書いた人
まいん

ドイツ在住20年。実際の体験をもとに、暮らし・歴史・文化・観光のリアルな情報をお届けしています。

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