【ドイツ・メルヘン街道】グリム童話の物語が息づく主要9都市をめぐる

ドイツ「メルヘン街道」のイメージ画像 ドイツ観光案内
「メルヘン街道」(筆者監修AI画像)
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ドイツには、いくつもの「街道」と呼ばれる観光ルートが存在します。ロマンティック街道やライン川沿いの古城街道など、日本人の間でも有名ですね。この記事では、「メルヘン街道(Deutsche Märchenstraße)」と呼ばれるルートを紹介します。

メルヘン街道は、ヘッセン州の都市ハーナウを起点に、北へ向かってブレーメンへと続く、全長約600キロメートルの観光ルートです。現在までに60を超える町や村が名乗りを上げて参加しています。

まいん
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グリム兄弟ゆかりの地や、彼らが収集した民話・伝承の舞台となった場所が点在していて、童話好きにはたまらないルートです。

グリム兄弟について

ヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟は、18世紀末から19世紀初頭にかけて、各地に伝わる昔話や伝承を、書物や語り手、知人たちから集めて整理・編集しました。1812年に刊行された『子どもと家庭のメルヒェン集』、いわゆる「グリム童話集」は、単なる子ども向けの読み物ではなく、ドイツ語圏の文化や言葉を記録しようとする試みでもありました。

グリム兄弟のポートレート
グリム兄弟 ヴィルヘルム(左)とヤーコプ (右)*1

赤ずきん、ヘンゼルとグレーテル、ラプンツェル、シンデレラ……私たちが幼い頃から親しんできた物語の多くが、この兄弟の手によって世界へ広まったのです。

メルヘン街道をめぐる主要9都市

メルヘン街道には60以上の町が含まれているため、すべてを紹介すると分かりにくくなってしまいます。そこでこの記事では、メルヘン街道の中でも特に印象的な 9つの都市 に絞って紹介します。

グリム兄弟が生まれたハーナウからスタートし、兄弟が少年時代を過ごしたシュタイナウ、木組みの町並みが美しいアルスフェルト、学生として過ごしたマールブルク、童話研究の拠点となったカッセル。そこからさらに北へ向かうと、ラプンツェルの塔が残るトレンデルブルク、眠れる森の美女の城とされるザーバブルク、笛吹き男の伝説で名高いハーメルン、そして終点のブレーメンへとたどり着きます。

各地の見どころ

まいん
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メルヘン街道の中でも人気の9つの町を訪れてみましょう。

Hanau(ハーナウ)── グリム兄弟の生誕地

フランクフルトから東へ約20キロ、マイン川のほとりにあるハーナウは、メルヘン街道の出発点です。ヤーコプ・グリムは1785年、ヴィルヘルムは1786年にここで生まれました。

マルクト広場には、二人の兄弟が並ぶブロンズ像があります。街道の起点を示すこのモニュメントは、旅のスタートにぴったりの記念撮影スポットです。

ハナウ市庁舎前のグリム兄弟の像
ハナウ市庁舎前のグリム兄弟の像 *2

ハーナウはグリム兄弟の出身地というだけでなく、ユグノー(フランスのプロテスタント)が17世紀に移り住んだ歴史も持つ多層的な町です。旧市街ではその歴史の面影も感じることができます。

Steinau an der Straße(シュタイナウ・アン・デア・シュトラーセ)── 少年時代の記憶

ハーナウから北へ約50キロ。「街道沿いのシュタイナウ」という名のこの小さな町は、グリム兄弟が幼少期を過ごした場所です。兄弟は1791年から1798年までこの町で少年時代を過ごしました。

町の中心には中世の城館が残っていて、現在は「Brüder Grimm Haus(グリム兄弟の家)」として公開されています。兄弟が実際に生活した空間の雰囲気を感じられる展示は、学者としてではなく子どもとしての二人の姿を想像させてくれます。

シュタイナウのBrüder Grimm Haus
シュタイナウのBrüder Grimm Haus *3

観光地化されすぎていない素朴な旧市街は、物語の「原風景」として静かに心に残る場所です。

Alsfeld(アルスフェルト)── 赤ずきんと木組みの街並み

アルスフェルトは「赤ずきん」の舞台のひとつとして知られ、ドイツで最も美しい木組みの町のひとつとして有名な場所です。

15〜16世紀に建てられた木組みの建物が立ち並ぶ旧市街は、中世の景観がほぼそのまま保存されていて、歩いているだけで時代をさかのぼったような気持ちになれます。ルーター教会や旧市庁舎を中心とした一帯は特に見ごたえがあります。

アルスフェルトの木組みの建物
アルスフェルトの木組みの建物 *4

赤ずきんのモチーフは町のいたるところで見られます。地元の民族衣装(赤い帽子と黒いドレス)が赤ずきんのモデルになったという説もありますが、それ以上に木組み建築の美しさそのものが、この町の最大の見どころです。

Marburg(マールブルク)── 大学の城下町

ラーン川沿いの丘の上にそびえる Landgrafenschloss(ラントグラーフェン城、通称 Marburger Schloss)が印象的なマールブルクは、グリム兄弟が1802年頃から法学を学んだ大学町です。この時期に民間伝承への関心を深め、後の童話収集につながったとされています。

現在もマールブルク大学は現役の総合大学で、学生たちが行き交う坂道の多い旧市街は、歴史と活気が不思議に共存しています。丘の上の城へと続く石段を登りながら眺める屋根並みは、とても絵になる風景です。

マールブルク旧大学
マールブルク旧大学 *5

ドイツ初期ゴシック建築の傑作とされる聖エリーザベト教会も、ぜひ訪れてみてほしい場所のひとつです。

Kassel(カッセル)── グリム童話研究の中心地

メルヘン街道のほぼ中間地点にあるカッセルは、グリム兄弟が長く活動の拠点とした都市です。兄弟はここで宮廷図書館の司書として働きながら童話の収集を続け、『グリム童話集』の初版もこの地で生まれました。

市内にある「GRIMMWELT Kassel」は、体験型の展示で童話の世界を紹介するユニークな施設で、大人が訪れても十分に楽しめます。また、ユネスコ世界遺産のヴィルヘルムスヘーエ公園も見逃せません。山頂のヘルクレス像から丘を流れる人工滝の景観は、ため息が出るほどの壮観さです。

カッセルの GRIMMWELT Kassel
カッセルの GRIMMWELT Kassel *6

現代芸術の国際展覧会「ドクメンタ」の開催地でもあり、歴史と現代が混在する面白い都市でもあります。

Trendelburg(トレンデルブルク)── ラプンツェルの塔

カッセルから北へ約30キロ。小高い丘の上に立つトレンデルブルク城は、「ラプンツェル」の伝説と結びついた場所として知られています。14世紀に建てられたこの城は、現在ホテルとして利用されていて、宿泊することもできます。

トレンデルブルク城とラプンツェルの塔
トレンデルブルク城とラプンツェルの塔 *7

高い塔を持つ城の外観は、長い髪を垂らして王子を待つ姫の物語を思い起こさせます。伝説の舞台かどうかはさておき、この景色の前に立てばそんなことはどうでもよくなってしまいます。

城の周辺には緑豊かな田園風景が広がっていて、その中に突然現れる中世の城の姿は、メルヘン街道の中でも特に「絵になる」場所のひとつです。

Sababurg(ザーバブルク)── 眠れる森の美女の城

トレンデルブルクからさらに北へ向かうと、「いばら姫(眠れる森の美女)」の城として語り継がれるザーバブルク城に辿り着きます。鬱蒼とした森の中に佇むこの廃城は、長い年月の間に樹木や蔦に覆われ、まるで本当に呪いがかかっているかのような不思議な雰囲気です。

ザーバブルク城
ザーバブルク城 *8

かつては騎士の城として、後には鷹狩りの宮廷として使われたこの場所も、今では廃墟に近い姿で残っています。でも、その崩れかけた石壁と周囲の原生的な森の組み合わせが、かえって童話の世界への想像をかき立ててくれます。

城の近くにはヨーロッパ最古の野生動物公園のひとつとされる自然公園もあり、自然好きにもおすすめの場所です。

Hameln(ハーメルン)── 笛吹き男の伝説

「ハーメルンの笛吹き男」は、ドイツ国外でもよく知られた伝説ですね。1284年に起きたとされる実際の出来事に由来するという説もあり、グリム童話に収録されている一方で、それよりもはるか以前から語り継がれてきた話でもあります。

ハメルンの笛吹き男の噴水
ハメルンの笛吹き男の噴水 *9

ヴェーザー川のほとりにあるハーメルンの旧市街は、「ヴェーザー・ルネサンス」と呼ばれる独自の建築様式が発達した場所で、装飾的な切妻屋根を持つ木組みの建物が整然と並ぶ景観はとても美しいです。

夏の週末には笛吹き男の伝説を演じる野外劇が旧市街で上演されます。伝説の舞台を歩くだけでなく、町そのものの美しさもじっくり味わってみてください。

Bremen(ブレーメン)── 旅の終点と音楽隊

自由ハンザ都市として中世から栄えたブレーメンは、マルクト広場を中心に重厚な歴史的建造物が建ち並んでいます。世界遺産にも登録された市庁舎とローラント像、そして広場の一角に立つ「ブレーメンの音楽隊」の銅像は、この旅のフィナーレにふさわしい光景です。

ブレーメンの音楽隊の銅像
ブレーメンの音楽隊の銅像 *10

でも、「ブレーメンの音楽隊」のロバ、犬、猫、鶏は、実はブレーメンには到着していません。旅の途中で泥棒たちを追い払った家に住み着いてしまったからです。

迷路のような路地が続くシュノーア地区の散策も楽しく、新鮮な魚介を楽しめる市場もあります。物語の終点でありながら、現実の魅力もたっぷりの生きた都市です。

お勧めの書籍

グリム童話集 赤ずきん・ラプンツェルなど (100年読み継がれる名作) 

子供の頃を思い出して、なつかしい童話の世界にひたってみましょう。

グリムの名作12話を収録した童話集。
【収録作品】
赤ずきん/おおかみと七ひきの子やぎ/ホレおばさん/いばら姫/白雪姫/七羽のからす/いさましい仕立て屋さん/ヘンゼルとグレーテル/ブレーメンの音楽隊/金のがちょう/小人のくつ屋さん/ラプンツェル

まとめ ── 自分だけの童話の旅を

メルヘン街道の面白いところは、ひとつひとつの町がそれぞれ独立した物語を持っているところだと思います。幼い頃に読んだ童話の記憶と、目の前に広がるドイツ中部の現実の景色が、旅の途中で何度も重なり合う ── そんな体験ができる場所です。

ハーナウからブレーメンまで通してたどるのも楽しいですし、好きな童話の舞台から訪れてみるのもいいでしょう。ラプンツェルが気になるならトレンデルブルクから、笛吹き男の謎が気になるならハーメルンから、というように。

また、メルヘン街道はグリム童話を知らなくても十分に楽しめます。木組み建築の美しさ、中世の城や町並み、ドイツ中部の素朴な食や文化。物語の知識がなくても、どの町も魅力的な旅先です。

まいん
まいん

子供の頃に読んだ童話を1つ1つ思い出しながら、物語が育まれた土地を、自分の足で歩いてみてくださいね。

出典:
*1 Von Hermann Biow – [1], Gemeinfrei, Link
*2 Von Jörg Braukmann – Eigenes Werk, CC BY-SA 4.0, Link
*3 Von Wikibine, CC BY-SA 3.0, Link
*4 By Fofarama – Flickr, CC BY 2.0, Link
*5 By Hydro – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
*6 By Alraunenstern – Own work, CC BY-SA 4.0, Link
*7 By Bodo Kubrak – Own work, CC0, Link
*8 By Sdicke – Own work, CC BY-SA 4.0, Link
*9 By Ymblanter – Own work, CC BY-SA 4.0, Link
*10 By Dietmar Rabich, CC BY-SA 4.0, Link

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この記事を書いた人
まいん

ドイツ在住20年。実際の体験をもとに、暮らし・歴史・文化・観光のリアルな情報をお届けしています。

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