ドイツ人は現実主義者というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は日常生活の中には、今も生きているおまじないや幸運のシンボルがたくさんあります。この記事では、私がドイツで実際に見聞きした迷信や縁起担ぎをご紹介します。

英語圏と似通った物もあれば、ドイツ特有の物まで、10個ご紹介します
幸運をもたらす言い伝え
黒い服を着た煙突掃除人(Schornsteinfeger)に会ったらラッキー!
街で黒い制服の煙突掃除人を見かけたら、それだけでラッキーなんです!ドイツでは煙突掃除人に触れると幸運が訪れると言われていて、見かけると思わず近づく人もいるほどです。昔は煙突が詰まると火事になるリスクがあったため、定期的に掃除してくれる彼らは「家を守る存在」として感謝され、しだいに幸運のシンボルになっていったんですよ。お正月カードやプレゼントのデコレーションにも、煙突掃除人のモチーフがよく登場します。

ブタ(Schwein)は幸運のシンボル
ドイツでは、ブタは幸運の象徴です。「Schwein haben(ブタを持つ)」という表現がそのまま「ラッキーだった」という意味になるほど、ブタと幸運は切っても切れない関係があります。新年のお菓子やプレゼントにはマジパン製の小さなブタ(Glücksschwein)が登場するのも、この文化から来ているんですよ。ころんとしたフォルムがとってもかわいくて、見ているだけで幸せな気持ちになります。

てんとう虫(Marienkäfer)が体に止まったら?
もし体にてんとう虫が止まったら、そっとしておいてあげてくださいね。ドイツでもてんとう虫は幸運を運ぶ虫とされていて、見かけると縁起がいいと言われます。”Marienkäfer”という名前は聖母マリアに由来していて、神聖な存在として古くから親しまれてきました。あの赤と黒の小さな姿が幸せのシンボルだなんて、なんだか微笑ましいですね。益虫を守るために「幸運」と結びつけた、先人の知恵だったのかも知れません。

黒猫(schwarze Katze)が横切った!どちらから来た?
黒猫が前を横切るとき、どちらから来るかで意味が変わります。右から左へ横切ると幸運、左から右へ横切ると不吉とされているんです。「左=不吉」という古い考え方がヨーロッパ各地に共通してあって、その影響がこんなところにも残っているんですね。黒猫を飼っているドイツ人の友人に聞いてみたら、「毎日、幸運だったり不吉だったりで忙しい」とのことです(笑)。

ドイツのペット事情に関してはこちらの記事をご覧ください。ドイツがなぜ「動物愛護大国」と呼ばれるのかを現地在住者の視点で詳しく解説しています。
タブー系には気を付けて
誕生日、前もってお祝いするのはNG!
ドイツでは、誕生日を当日より前にお祝いするのはタブーとされています。「まだ来ていない未来を祝うと、不幸を招く」という考え方が今も根強く残っているんです。うっかり「もうすぐ誕生日だね、おめでとう!」と言ってしまうと、真顔で「(せっかくの誕生日を)台無しにしないで!」と言われるほどです。知らずにやってしまいがちなので、ドイツ人のお友達がいる方はぜひ覚えておいてくださいね。

鏡を割ると7年間不運が続く?
鏡を割ると7年間不運が続く、という迷信はドイツでも広く知られています。昔、鏡はとても高価なものだったため、割れることへの恐怖が迷信として根付いたとも言われています。また、鏡は魂を映すものという信仰があって、割れることで魂にも影響が出ると考えられていたようです。現代のドイツ人でも、鏡を割ったときに「あ、7年間か……」とつぶやく人がいるのが、なんだかおかしくて愛しいですよね。

年末年始に洗濯物を干しちゃダメ?
ドイツでは、年末年始に洗濯物を干すのは縁起が悪い、という言い伝えがあります。とくに新年をまたいで洗濯物を外に干しておくのは、不吉だと考えられてきました。
その理由にはいくつかの説があります。たとえば、年末年始の特別な時期には、空をかける精霊や「野の狩り」の一団が現れ、干してある洗濯物にからむ、と信じられていたという説です。また、白いシーツや布が死者の布を連想させるため、よくないとされた、とも言われています。

おまじないで運を引き寄せ!
Toi Toi Toi(トイ・トイ・トイ)は幸運のおまじない
「頑張って!」「うまくいくといいね!」という気持ちを伝えるとき、ドイツ人は「Toi Toi Toi」と言います。英語の “Good luck!” に近いニュアンスで、発表や試験の前によく使われます。由来は諸説ありますが、悪いものを追い払うための言葉とも言われていて、3回繰り返すのがポイントです。言いながら木をトントンと叩くジェスチャーをすることもあって、なんだかかわいらしいですよね。

くしゃみをしたら Gesundheit!
くしゃみをした人に「Gesundheit!(ゲズントハイト)」と声をかけるのは、ドイツでは日常的なマナーです。Gesundheitは「健康」という意味で、「お大事に」「健康でいてね」というニュアンスで使われます。昔はくしゃみをすると魂が体から飛び出してしまうと信じられていたため、声をかけて魂を引き戻す意味があったとも言われています。
英語では Bless you(神様の祝福を!) が一般的ですが、ドイツ語では Gesundheit (健康を!)と言うのが面白いですね。

Daumen drücken(ダウメン・ドリュッケン)で応援しよう
「Daumen drücken」は直訳すると「親指を押す」という意味で、英語の “fingers crossed” に相当する表現です。ただし、ドイツでは指をクロスさせるのではなく、親指を他の指で包み込むようなグーのポーズをするのが特徴なんですよ。「うまくいくように祈ってるよ!」という気持ちを込めて使われ、試験や面接の前に「Ich drücke dir die Daumen!(応援してるよ!)」と言い合う光景はごく自然です。ぜひ覚えて使ってみてくださいね!

🏡ドイツの日常生活や社会のしくみ、現地での暮らしに役立つ情報は[ドイツ生活と文化カテゴリー]にまとめています。生活の知恵から文化的な習慣まで、実際に暮らす目線で分かりやすく紹介していますので、滞在中の参考にぜひご覧ください。
おわりに
いかがでしたか?「現実的」なイメージのあるドイツにも、こんなにたくさんの迷信やおまじないが今も息づいているんですよね。旅行中や現地の人との会話の中でぜひ話題にしてみてください。きっと会話が弾みますよ!

誕生日のお祝いなどは、日本だと遅れて言う方が失礼ですが、ドイツでは真逆なんですね。私も最初の頃は知らなくて失敗しちゃいました。皆さんはお気をつけて!
出典:
*1 Von Christoph Braun – Eigenes Werk, CC0, Link
*2 Bild von Alexa auf Pixabay
*3 Bild von katerinavulcova auf Pixabay
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*5 Bild von G.C. auf Pixabay
*6 Rehan 0331によるPixabayからの画像
*7 Bild von Alexander Fox | PlaNet Fox auf Pixabay
*8 筆者監修AI画像
*9 Bild von Luisella Planeta LOVE PEACE 💛💙 auf Pixabay
*10 Von Grey Geezer – Eigenes Werk, CC BY-SA 3.0, Link


