ドイツ・ヘッセン州にあるマールブルクは、丘の上の城と美しい木組みの家が続く中世の街並みが特徴の町です。グリム兄弟が大学時代を過ごした「メルヘン街道」の街としても知られ、人口の約3割が学生の活気ある大学街でもあります。
当時大学に通っていたグリム兄弟の弟ヴィルヘルムは、「この町は家の中にある階段よりも、通りにある階段の方が多い」という言葉を遺したと言われているくらい、坂と階段が多いことで知られています。

マールブルクへは、歩きやすいスニーカーで行くのがおススメです!
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マールブルク(Marburg)ってどんな町?

マールブルクは、ドイツ中部のヘッセン州、フランクフルトから北へ約95kmにある町です。町の中をラーン川が流れ、丘の斜面には木組み建築が並ぶ旧市街が広がっています。平坦な町ではなく、高低差のある独特の地形がマールブルクの景観を形づくっています。
中世にはヘッセン方伯の城が築かれ、その麓に城下町が発展しました。1527年に創設されたフィリップ大学は、現在も存続する世界最古のプロテスタント大学として知られています。歴史ある城下町と学生の町という二つの性格が重なっています。
19世紀初頭には、グリム兄弟もこの町で学び、この時期に民間伝承への関心を深め、後の童話収集につながったとされています。そのため、現在のマールブルクはドイツ・メルヘン街道の一都市に数えられています。
マールブルクへのアクセス
鉄道でのアクセス
マールブルクへは、フランクフルト方面とカッセル方面から、RE(快速地域列車)でアクセスできます。
| 出発地 | 電車 | 所要時間 |
|---|---|---|
| フランクフルト中央駅 | RE30・RE98 | 約1時間 |
| カッセル中央駅 | RE30・RE98 | 約1時間10分~1時間40分 |
🌐 DB(ドイツ鉄道)またはRMV(ライン=マイン交通連合)の公式サイトから、最新の所要時間や運賃を確認してください。
市内交通
マールブルク市内の公共交通は、主に市バスが担っています。中央駅から旧市街方面へ向かう路線もありますが、今回紹介する中心部の観光スポットは徒歩で巡ることができます。ただし、旧市街から城までは坂道や階段が続くため、体力に不安がある場合や、帰りの移動にはバスを利用すると便利です。マールブルクはRMV(ライン=マイン交通連合)の運賃エリアに含まれています。
🌐 市内交通の時刻表やチケット料金は、Stadtbus Marburg(独) または RMV(英) の公式サイトで確認できます。
ドイツ全土の公共交通機関が定額で使える「Deutschlandticket(ドイチュランドチケット)」ももちろん利用可能です。こちらの記事で詳しく紹介しています。
マールブルク中央駅(Marburg (Lahn))から聖エリーザベト教会まで
最初の観光スポット「聖エリーザベト教会」までは、徒歩で11~12分くらいです。公共交通機関も使えますが、時間的にほとんど変わらないので、徒歩がおすすめです。
マールブルクの見どころ

地図だと平坦に見えますが、実際は坂道が多いので、時間に余裕を見て計画すると良いですよ。
聖エリーザベト教会(Elisabethkirche)

聖エリーザベト教会は、1235年から1283年にかけて、聖エリーザベトの墓の上に建てられました。ドイツ最古のゴシック様式のホール教会とされ、後のドイツ・ゴシック建築にも大きな影響を与えています。
中世には巡礼者がヨーロッパ各地から訪れ、教会内部には聖エリーザベトの聖遺物を納めた13世紀の金色の聖櫃や、1290年に奉献された主祭壇が残されています。現在もマールブルクを代表する歴史的建築の一つです。
📍住所:Elisabethstraße 3, 35037 Marburg
🌐公式サイト(独)
🕛開館時間:4月~9月 10:00-18:00、10月 10:00-17:00、11月~3月 10:00-16:00
🎫 入場料:寄付歓迎
マルクト広場・市庁舎(Marktplatz und Rathaus)

マルクト広場は、木組み建築に囲まれた上町(丘の斜面に広がる旧市街)の歴史的中心地です。中世から町の暮らしの中心となってきた場所で、現在も市場や催しが開かれ、周辺にはカフェやレストランが並んでいます。
広場に面する市庁舎は、1512年から1527年にかけて建てられた後期ゴシック様式の建物です。ルネサンス様式の切妻に設置された雄鶏の仕掛け時計が特徴で、毎正時になると鐘のあとに羽を動かして時を告げます。現在も市政の中心として使われており、マールブルクを代表する建築物の一つです。
📍住所:Markt 2, 35037 Marburg
🌐公式サイト(独)
🕛開館時間:外観のみ24時間見学可
🎫 内部見学ツアー:大人15ユーロ、ドイツ語のみ、約1.5時間、こちらのサイトから要予約
旧市街・上町(Altstadt・Oberstadt)

マールブルクの旧市街は、谷間の聖エリーザベト教会から丘の上のマールブルク城へ向かう斜面に広がっています。そのため、この一帯は「上町(Oberstadt)」とも呼ばれています。谷から城までは約100mの高低差があり、坂道に沿って細い路地や木組み建築が連なる、マールブルクらしい景観を楽しめます。
歴史的な町並みの中には、古い建物を利用した店や飲食店が並び、現在も人々の暮らしが息づいています。名所を目指して歩くだけでなく、曲がりくねった路地や建物の細部を眺めながら散策したい場所です。
📍住所:Barfüßerstraße 47, 35037 Marburg
旧大学(Alte Universität)

旧大学は、フィリップ大学の歴史を象徴するネオゴシック様式の建物です。現在の建物は、かつてドミニコ会修道院があった場所に19世紀後半に建てられ、1891年に完成しました。中世の修道院教会を取り込むように造られており、歴史ある旧市街の景観によく溶け込んでいます。
現在はフィリップ大学の福音主義神学部が使用しています。内部の講堂は大学の式典などにも利用されており、現在も現役の大学施設です。現在の建物が完成したのは1891年ですが、この場所には以前から大学施設があり、19世紀初頭にはグリム兄弟もここで法律を学びました。
📍住所:Lahntor 3, 35037 Marburg
🎫 内部見学ツアー:こちらのサイトから要予約
聖マリア教区教会(Lutherische Pfarrkirche St. Marien)

聖マリア教区教会は、旧市街のマルクト広場とマールブルク城の間に建つ、マールブルク最古の教区教会です。13世紀にドイツ騎士団によって建設が始まり、1297年にはゴシック様式の内陣が聖母マリアに捧げられました。現在の教会は、三廊式のゴシック様式のホール教会です。
宗教改革後はヘッセンの重要な教会となり、大学教会や宮廷教会としても使われ、ヘッセン方伯の埋葬地にもなりました。遠くからでも目立つ傾いた塔は、この教会の大きな特徴です。現在も礼拝のほか、コンサートや展覧会などが開かれています。
📍住所:Lutherischer Kirchhof 1, 35037 Marburg
🌐公式サイト(独)
🕛開館時間:8:00-18:00
🎫 入場料:寄付歓迎
マールブルク城(Landgrafenschloss Marburg)

丘の上にそびえるマールブルク城は、町を代表する建築物です。中世にはヘッセン方伯の居城として使われ、その後は要塞、監獄、文書館など、時代によってさまざまな役割を担ってきました。1529年には、マルティン・ルターとウルリヒ・ツヴィングリらが宗教改革をめぐって議論した「マールブルク宗教会談」もここで行われました。
城内では、ドイツ・ゴシック建築でも特に大きな室内空間の一つである「侯爵の間」や、中世の壁画が残る城内礼拝堂を見学できます。現在はフィリップ大学の美術・文化史博物館として利用され、マールブルクの歴史や城の建築に関する展示も行われています。
注:2026年8月現在、公式サイトではWilhelmsbauの文化史コレクションは改修工事のため閉鎖中と記載されています。詳細は公式サイト、もしくは現地でご確認ください。
📍住所:Schloß 1, 35037 Marburg
🌐公式サイト(独)
🕛開館時間:火~日 10:00-17:00、月 休館
🎫 入場料:大人 8ユーロ~(2026年8月現在)
グリム童話のオブジェ散策ルート
マールブルクには、グリム・ディッヒ小径(Grimm-Dich-Pfad) と呼ばれる散策ルートがあります。グリム童話をモチーフにしたアートオブジェが街中に点在している、全長約1.6〜2kmのルートです。
🌐公式サイト(独)

観光の途中でいくつか見るのもいいし、計画を立てて全制覇するのも楽しそうですね!
ルートの概要
- 距離と高低差:全長約2km。旧植物園から旧市街を上り、マールブルク城を経由して歩く、高低差のあるルートです。上りは約86mあります。
- 所要時間:公式の目安は約1時間30分です。写真撮影や寄り道をしながら歩く場合は、もう少し余裕を見ておくとよいでしょう。
- スポット数:ルート上には、グリム童話のオブジェやグリム兄弟ゆかりの場所など、15か所のスポットがあります。
主な見どころ・オブジェの例
散策路では、建物の壁や石垣、路地の一角などに設置された、グリム童話を題材にした作品を探しながら歩きます。





- 『狼と7匹の子ヤギ』:Steinwegの建物の壁に、狼と子ヤギたちの顔を表したオブジェが並んでいます。
- 『カエルの王様』:Wettergasseの建物外壁に、カエルのオブジェが設置されています。
- 『星の銀貨』:Reitgasseの建物に、星空と物語の少女を描いた作品があります。
- 『白雪姫』の鏡:Landgraf-Philipp-Straßeの城壁に、物語に登場する魔法の鏡を表した作品が設置されています。
- 『シンデレラ』の靴:マールブルク城の城壁の下には、シンデレラが落とした靴を表した大きなオブジェがあります。
ルートマップ
公式サイトのこちらのページからダウンロードできます(独英併記)。以下に、日本語タイトルをまとめておくので参考にしてください。
| 番号 | ドイツ語タイトル | 日本語タイトル |
|---|---|---|
| 1 | Von dem Fischer und seiner Frau | 漁師とその妻 |
| 2 | Der Wolf und die sieben jungen Geißlein | 狼と7匹の子ヤギ |
| 3 | Froschkönig | カエルの王様 |
| 4 | Krieger’sche Leihbibliothek | クリーガー貸出図書館 |
| 5 | Sterntaler | 星の銀貨 |
| 6 | Das tapfere Schneiderlein | 勇ましいちびの仕立て屋 |
| 7 | Haus der Romantik | ロマン派の家 |
| 8 | Rotkäppchen und der Wolf | 赤ずきんと狼 |
| 9 | Schneewittchen | 白雪姫 |
| 10 | Aschenputtel | シンデレラ |
| 11 | Zitat von Jakob Grimm | ヤーコプ・グリムの言葉 |
| 12 | Wohnhaus Prof. Savigny | サヴィニー教授の住居 |
| 13 | Hänsel und Gretel | ヘンゼルとグレーテル |
| 14 | Stadtplan aus der Studienzeit der Grimms | グリム兄弟の学生時代の市街図 |
| 15 | Wohnhaus von Jakob Grimm | ヤーコプ・グリムの住居 |

マールブルクには、上記のグリム・ディッヒ小径以外にもたくさんの観光ルートが用意されています。公式のこのページでいろんなパンフレットがダウンロードできるので、興味のある物を探してみてくださいね。
おすすめの書籍
シリーズ紹介
当サイトでは、グリム童話1812年初版の翻訳プロジェクトを連載しています。これからもどんどん追加予定なので、ぜひ【グリム童話カテゴリー】をのぞいてみてください。


おわりに
実際にマールブルクを歩いてみると、とにかく「坂道と階段の多さ」に驚かされるかもしれません。しかし、一歩一歩足を運ぶたびに、木組みの家の表情が変わり、新しい童話のモニュメントに出会えるため、不思議と疲れを忘れて夢中で歩いてしまいます。

ぜひカメラを片手に、スニーカーを履いて、この絵本の世界へ飛び込んでみてくださいね。
🏰ドイツ各地の観光スポットや街歩きコースは、他の記事でも紹介しています。人気都市から歴史ある町まで、現地在住の筆者がまとめた旅行ガイドを掲載しています。ぜひ[ドイツ観光案内カテゴリー]もあわせてご覧ください。


画像出典:
*1 By Foto von Hydro bei Wikipedia, CC BY-SA 4.0, Link
*2 By © Heinrich Stürzl / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0, Link
*3 By Hydro – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
*4 By ErwinMeier – Own work, CC BY-SA 4.0, Link
*5 Foto: Hanna Stummer, CC BY 4.0, Marburg Stadt und Land Tourismus GmbH, Link
*6 Photo AC
*7 By Foto von Hydro bei Wikipedia, CC BY-SA 4.0, Link
*8 Foto: Hanna Stummer, CC BY 4.0, Marburg Stadt und Land Tourismus GmbH, Link
*9 Foto: Hanna Stummer, CC BY 4.0, Marburg Stadt und Land Tourismus GmbH, Link


