日本の暑さが苦手で、過去20年くらい7~8月には日本に帰ったことのない私ですが、過ごしやすいと思っていたドイツの夏も、近年様子が変わってきました。
一般家庭にはエアコンはないのが普通だったのですが、最近では徐々に普及しつつあります。今回は、ドイツにエアコン文化が根付いてこなかった理由や、夏の暑さ対策について、日本との違いを紹介したいと思います。

私は暑さに耐えきれず、ついに2年前、置き型クーラーを買ったんですよ!
ドイツの夏はどんな暑さ?
ドイツの夏は、日本のように「数か月間、とにかく毎日ムシムシと暑い」というものではありません。私の住むフランクフルトでも35℃前後になる日はありますし、数日間30℃を超える暑さが続くこともあります。ただ、日本の夏と決定的に違うのは、湿度と期間です。

日本では梅雨が明けると、高温多湿の暑さが8月~9月まで続きますが、ドイツでは暑い日が1週間ほど続いたと思ったら、急に23〜24℃くらいまでぐっと下がることも珍しくありません。また、暑い日でも朝晩には気温が下がり、日中の暑さと朝晩の涼しさの差が大きく感じられることがあります。夜に窓を開けて寝たら、明け方には冷えすぎていた、という場合も多いのです。
ドイツの家にエアコンが少なかった理由
こうした気候の特性が、ドイツにエアコン文化が根付かなかった大きな理由の1つです。暑い日が数日続いても、しばらくすればまた過ごしやすくなる。そんなサイクルが長く続いてきたため、日本のように「なければ生活できない」という切実さがなかったのです。
加えて、ドイツの住宅設備はもともと冬の暖房を中心に考えられてきました。日本では「自分のいる範囲を石油ストーブで暖める」という感覚がありますが、ドイツでは住まい全体をセントラルヒーティングで暖めるのが一般的です。断熱性の高い住宅構造も、もともとは冬の寒さ対策として発達してきたもの。夏の冷房については、”これまで後回しにされてきた”側面があります。

私がドイツに来た25年ほど前、一般家庭ではエアコンがないのが当たり前だったし、私自身も「暑い日は数日我慢すれば乗り切れる」と思って、20年以上エアコンなしで夏を過ごしていました。
ドイツ家庭の夏の暑さ対策
ではエアコンなしで、どうやって夏の暑さをしのぐのか。ドイツの家庭でよく行われているのが、朝の涼しい時間帯に空気を入れ替え、日中は外の熱を室内に入れないようにする方法です。
朝のうちに窓やドアを開けて家の中に涼しい空気を通し、気温が上がり始める前に窓を閉め、カーテンや雨戸で日差しを遮ります。これはドイツ独自の習慣ではなく、欧州の暑さの厳しい地域で古くから行われてきた、ごく一般的な暑さ対策です。
日本人からすると「暑い日に窓を閉める」というのは少し意外に感じるかもしれません。暑ければ窓を開けて風を通したくなりますが、外気温が室温より高くなってしまったら、窓を開けると逆に熱が入ってきてしまいます。ドイツの厚い壁と高い断熱性は、一度室内を冷やしてしまえば、その涼しさをある程度キープしてくれるのです。
夕方になって外が涼しくなれば、また窓を開けて換気する。この朝晩の換気と、日中の遮熱を組み合わせるのが、ドイツ流の夏の基本スタイルです。

ドイツの”外付けシャッター式の雨戸”は、Rollladen(ロールラーデン)と呼ばれます。この記事のアイキャッチ画像のような雨戸で、ごく一般的に普及しています。
近年は少しずつ変わるドイツの冷房事情
それでも、ドイツでは「近年は夏の暑さが以前より厳しくなってきた」と感じている人が増えています。昔は数日の我慢で済んでいたものが、連日の暑さが体にこたえるようになってきた——そう感じる人も少なくないようです。
そうした変化を受けて、最近では排気ホースを窓の隙間から外に出すタイプの置き型クーラーを使う家庭が増えてきました。かくいう私も、「例えわずか数日の事でも、これ以上我慢できない!」と判断し、ドイツAmazonで2年前に購入しました。
ただし、日本でよく見るような壁掛けエアコンは、一般家庭ではまだ主流ではありません。賃貸住宅では壁に穴を開けることが難しかったり、設置コストが高かったりと、現実的な障壁もあります。置き型クーラーはあくまで補助的な存在で、ドイツ全体で「エアコンが当たり前」という段階にはまだ至っていません。
夏のドイツ旅行で気をつけたいこと
夏にドイツを旅行する予定がある方は、冷房事情について事前に確認しておくと安心です。ホテルに冷房が必ずあるとは限りませんし、レストランでも冷房のない店舗は珍しくありません。宿泊先を予約する際は、エアコンや冷房設備の有無を確認しておくと良いでしょう。特に古い建物のホテルやゲストハウスは、冷房がないケースも多いです。
また、暑い日は無理に予定を詰め込まず、涼しい時間帯(午前中や夕方以降)に屋外観光を楽しみ、日中は美術館や教会など冷涼な室内で過ごすのもひとつの選択肢です。

暑い日は無理に動かにゃいで、のんびり過ごすにゃ。
おわりに
ドイツの夏は、日本の夏とは別の暑さです。気候の違いが住まいのあり方や暮らしの知恵を形づくってきたのだと、こちらで長く生活していると改めて感じます。世界的に気候が少しずつ変わりつつありますが、それでも、私の好きなドイツの過ごしやすい夏が、この先も続いてくれることを願っています。

猫は涼しい場所を探す名人ですが、猛暑の時は床にグタ~っと伸びていてかわいそうです。適宜クーラーをつけて、熱中症にならないよう気を付けています。
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