【ゲーテ街道】を旅する|文豪の軌跡をたどる美しいドイツの街めぐり

ワイマール ドイツ国民劇場前のゲーテとシラーの像 ドイツ観光案内
ワイマール ドイツ国民劇場前のゲーテとシラーの像

ゲーテ街道(Goethestraße)は、ドイツの偉大な文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの足跡やゆかりの地を辿る、全長約600kmの魅力的なドイツ観光街道で、西はフランクフルトから東は古都ドレスデンまでを結んでいます。1990年のドイツ再統一によって東西の往来が可能となり、観光街道として整備されました。

文学の舞台を巡るだけでなく、大作曲家バッハの音楽、バウハウスのデザイン思想、中世の木組みの街並みなど、ドイツの歴史・文化・芸術の真髄が1本の線で繋がる通好みのルートとして近年特に人気を集めています。

まいん
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今回は、世界的に有名な文豪の名を冠したその街道をご紹介します。

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文豪ゲーテについて

1828年のゲーテの肖像画
1828年のゲーテの肖像画(出典 *1)

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、18世紀後半から19世紀前半にかけて活躍した、ドイツを代表する詩人・小説家・劇作家です。若き日にライプツィヒで学び、ヴェッツラーでの体験から『若きウェルテルの悩み』を生み出し、のちにワイマールで生涯の大半を過ごしました。『ファウスト』をはじめとする数々の作品を残したほか、政治や自然科学の分野でも才能を発揮し、その足跡はドイツ各地に刻まれています。

ゲーテ街道をめぐる8都市

ゲーテ街道は、ゲーテの生涯と作品にゆかりのある8つの都市を結ぶ観光ルートです。それぞれの街には、ゲーテが生まれ、学び、旅をし、創作に取り組んだ足跡が残されています。

ゲーテの生誕地であるフランクフルトからスタートし、『若きウェルテルの悩み』誕生のきっかけとなったヴェッツラー、旅の途中でたびたび滞在したフルダ、ゲーテも繰り返し訪れたヴァルトブルク城のあるアイゼナハへ。さらに、ナポレオンと会見したエアフルト、生涯の大半を過ごしたワイマール、学生時代を送ったライプツィヒを経て、ゲーテを魅了した芸術の都ドレスデンへと続きます。

各地の見どころ

まいん
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それでは、ゲーテ街道の街を1つずつ見ていきましょう。

Frankfurt am Main(フランクフルト・アム・マイン)── ゲーテの生誕地

フランクフルト旧市街のレーマー広場と木組みの家並みの画像
観光客で賑わうレーマー広場(Römerberg)の風景(筆者撮影)

ゲーテ街道の出発点となるフランクフルトは、1749年にゲーテが生まれ、少年時代を過ごした町です。青年期までのさまざまな体験が、その後の作品や思想の土台となりました。

現在はヨーロッパ有数の金融都市として知られ、高層ビルが立ち並ぶ近代的な景観から「マインハッタン」とも呼ばれています。

その一方、旧市街にはレーマー広場や大聖堂、復元された木組みの家々が並び、マイン川沿いには数多くの博物館が集まっています。現代的な大都市の活気と歴史ある町並みを一度に楽しめるのが、フランクフルトの魅力です。

Wetzlar(ヴェッツラー)── 『若きウェルテルの悩み』誕生の地

ヴェッツラーのラーン川と旧市街
ヴェッツラーのラーン川と旧市街(出典 *2)

1772年、若きゲーテは法律実務を学ぶためにヴェッツラーを訪れました。ここで出会ったシャルロッテ・ブッフへの叶わぬ恋と、友人カール・ヴィルヘルム・イェルザレムの死が、『若きウェルテルの悩み』を生み出す大きなきっかけとなりました。

ラーン川沿いに広がる旧市街には、中世の広場や美しい木組みの家、バロック様式の建物が残っています。異なる時代の建築様式が混在する、未完成のヴェッツラー大聖堂も町を代表する見どころです。

ヴェッツラーは光学産業の町としても知られ、世界的なカメラブランド「ライカ」発祥の地でもあります。文学の舞台と美しい旧市街、光学技術の歴史という三つの異なる魅力を楽しめる町です。

Fulda(フルダ)── ゲーテがたびたび滞在したバロック都市

フルダの大聖堂
聖サルヴァトール大聖堂(出典 *3)

16歳だった1765年、ゲーテはライプツィヒへ向かう旅の途中で初めてフルダに立ち寄りました。その後も旅の途中でたびたびこの町を訪れており、フルダはゲーテが東西を行き来する際の重要な中継地でした。

フルダは、8世紀に創建された修道院を起源とする歴史ある宗教都市です。18世紀には華やかなバロック都市へと発展し、壮麗なフルダ大聖堂や、かつて領主が暮らしたフルダ市宮殿が町の中心を彩っています。

ドイツ最古級の教会の一つであるミヒャエル教会も見どころです。中世からバロック時代までの建築が残る旧市街では、落ち着いた雰囲気の中で長い歴史を感じられます。

Eisenach(アイゼナハ)── ゲーテが18回滞在した歴史都市

アイゼナハのヴァルトブルク城
アイゼナハのヴァルトブルク城(出典 *4)

ゲーテは生涯に18回アイゼナハを訪れ、公務や私的な旅で滞在しました。1777年には約6週間を過ごしてヴァルトブルク城へ何度も足を運び、その後も城に滞在するなど、アイゼナハと深い関わりを持ち続けました。

町を見下ろすヴァルトブルク城は、世界遺産にも登録されたドイツ屈指の名城です。聖エリーザベトが暮らした城であり、マルティン・ルターが新約聖書をドイツ語に翻訳した場所としても知られています。

アイゼナハは、大作曲家ヨハン・セバスティアン・バッハの生誕地でもあります。旧市街にはバッハハウスやルターハウスがあり、文学だけでなく、音楽と宗教改革の歴史にも触れられる町です。

Erfurt(エアフルト)── ナポレオンとの歴史的会見の舞台

エアフルトの大聖堂とセヴェリ教会
エアフルト大聖堂とセヴェリ教会

1808年、ヨーロッパ各国の君主が集まるエアフルト諸侯会議が開かれ、ゲーテもこの地を訪れました。10月2日、旧マインツ選帝侯総督府でナポレオンに謁見し、文学や演劇について言葉を交わしました。建物は現在、テューリンゲン州首相府として使われています。

中世の面影を残す旧市街には、両側に家々が建ち並ぶクレーマー橋があります。橋の上には工芸品店やギャラリーが入り、エアフルトを象徴する美しい景観をつくっています。

大聖堂の丘には、エアフルト大聖堂とセヴェリ教会が並んでそびえています。マルティン・ルターが学んだ大学都市でもあり、ペータースベルク要塞をはじめ、宗教改革や中世の歴史を伝える見どころが残っています。

Weimar(ワイマール)── ゲーテが生涯の大半を過ごした文化都市

ワイマール郊外にあるベルヴェデーレ宮殿
ワイマール郊外にあるベルヴェデーレ宮殿

1775年、26歳のゲーテは、若きカール・アウグスト公の招きを受けてワイマールへ移りました。作家としてだけでなく、政治家や自然研究者としても活動し、1832年に亡くなるまでこの町を生活の拠点としました。シラーとの親交からは、ドイツ文学史に輝くワイマール古典主義が花開きます。

ゲーテとシラーの旧居、アンナ・アマーリア大公妃図書館、イルム河畔公園など、町に残る建物や庭園は「古典主義の都ワイマール」として世界遺産に登録されています。

ワイマールは、1919年に芸術学校バウハウスが創設された町でもあります。古典文学の世界から近代デザインの原点まで、異なる時代の文化と芸術を一度にたどれる奥深い文化都市です。

まいん
まいん

私のアイコンはバウハウス・スタイルをイメージしているんですよ!

Leipzig(ライプツィヒ)── 学生時代と『ファウスト』ゆかりの地

ライプツィヒ トーマス教会前のバッハ像
トーマス教会前のバッハ像

16歳だった1765年、ゲーテは法律を学ぶためにライプツィヒ大学へ入学し、1768年まで学生生活を送りました。当時通っていたアウアーバッハス・ケラーでファウスト伝説に触れ、のちにこの酒場を『ファウスト』第一部の舞台として登場させています。

ライプツィヒは、バッハやメンデルスゾーンをはじめ、多くの音楽家が活躍した「音楽の都」でもあります。バッハが27年間にわたって音楽活動の拠点としたトーマス教会には、現在もその墓が置かれています。

旧市街には、旧市庁舎や歴史ある商館、優雅なパッサージュが集まり、歩いて町めぐりを楽しめます。ゲーテの青春時代と『ファウスト』の世界、そして豊かな音楽文化が重なる魅力的な都市です。

Dresden(ドレスデン)── ゲーテを魅了した芸術の都

ドレスデン 君主の行列と、奥に見えるフラウエン教会
君主の行列と、奥に見えるフラウエン教会

1768年、ライプツィヒで学んでいた18歳のゲーテは、初めてドレスデンを訪れました。現在のアルテ・マイスター絵画館につながるコレクションを鑑賞し、「この聖域に足を踏み入れると、驚きはそれまでの想像をはるかに超えた」と回想しています。

ドレスデンは、ザクセン選帝侯たちのもとで発展した華麗な芸術都市です。旧市街には、ツヴィンガー宮殿やゼンパーオーパー、レジデンツ城、壮麗なフラウエン教会など、ドレスデンを代表する建築が集まっています。

第二次世界大戦で大きな被害を受けながら、多くの歴史的建造物が再建され、美しい町並みを取り戻しました。エルベ川沿いのブリュールのテラスから眺める景観も美しく、「エルベのフィレンツェ」の名にふさわしい文化と芸術の都です。

ゲーテ関連の連載紹介

当サイトでは、ゲーテ作品を紹介する以下の連載を掲載しています。

題名は知ってるドイツ語文学『ファウスト・第一部』

題名は知っているけれど、作品自体を読んだことがない。ざっくりでいいから、最初から最後まで物語を知りたい、という方のための連載です。『ファウスト・第一部』は、全4回の予定で連載中です。

新釈『若きウェルテルの悩み』ーウェルテルの手紙を一通ずつ紹介

こちらは、あらすじではなく、原作を分かりやすい日本語に訳して紹介するシリーズです。書簡形式の本作を、手紙一通につき1記事で紹介しています。全80回の予定で連載中。1記事がさくっと短いので、名作を気楽に読んでいただけます。

Amazon Audible でオーディオブックを楽しむ

『若きウェルテルの悩み』のオーディオブックは、アマゾンAudibleのプレミアムプランに入会すると聴き放題対象です。こちらのリンクから 申し込むと、プレミアムプランが最初の30日間無料なので、ぜひお試しください。無料期間中にいつでも退会できます。竹山 道雄(訳)、山口晶士(朗読)。

まいん
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書簡に込められたウェルテルの感情を「朗読」で味わってみたい方におすすめです。

おわりに

フランクフルトが生んだ文豪ゲーテの足跡をたどっていくと、ドイツの美しい風景に出会えます。今から250年ほど前に、ゲーテも同じ景色を見たのかと思うと、偉大な文豪がふと身近に感じられる瞬間があるかも知れません。

まいん
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個別記事未掲載の街も、記事を更新次第リンクを追加していくので楽しみにお待ちくださいね。

画像出典
*1 ジョセフ・カール・シュティーラー – パブリック・ドメイン, リンク
*2 Von Krusto – self made by Krusto, CC BY 2.0 de, Link
*3 By Sfintu1 – Own work, CC BY-SA 4.0, Link

*4 Von A.Savin – Eigenes Werk, FAL, Link

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