ドイツ中部のヘッセン州に位置するカッセル(Kassel)は、「メルヘン街道」の中心地であり、グリム兄弟が長年暮らして童話を編集したことでも知られています。世界遺産の広大な公園と現代アートでも有名な、緑豊かな街です。
また、5年に1度開催される世界最大級の国際現代美術展「ドクメンタ(documenta)」の開催地としても世界的に知られています。街のあちこちにアート作品や彫刻が溶け込んでいます。

世界遺産からグリム兄弟まで、カッセルの見どころを巡ってみましょう
カッセルってどんな街?

カッセル(Kassel)は、ドイツ中部のヘッセン州北部に位置する人口約20万人の都市です。フランクフルトから北へ約200km、北ヘッセン地方の中心都市として発展してきました。
カッセルの歴史は古く、913年に初めて文献に登場し、中世以降はヘッセン方伯の居城都市として栄えました。グリム兄弟も長年この街で暮らし、『子どもと家庭の童話集』の編集などを行っています。第二次世界大戦では大きな被害を受けたため、現在の中心部には戦後に再建された街並みが広がっています。
現在のカッセルを代表するのが、世界遺産「ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエ」と、5年に一度開催される国際現代美術展「ドクメンタ」です。また、北ヘッセン名物の熟成ソーセージ「アーレ・ヴルスト(Ahle Wurscht)」も、この地方を訪れたら味わってみたい郷土料理です。
カッセルへのアクセスと市内交通
鉄道でのアクセス
カッセルにはKassel-Wilhelmshöheという、ICEなど長距離列車が停まる主要駅がありますが、この記事では先ず市内観光を案内しているので、中央駅(Kassel Hbf)で下車してください。
| 出発地 | 電車 | 所要時間 |
|---|---|---|
| フランクフルト中央駅 | RE30、RE98、RE99 | 約2時間15分~2時間40分 |
🌐 DB(ドイツ鉄道)の公式サイトから、最新の所要時間や運賃を確認してください。
市内交通
カッセル市内は、トラム(Straßenbahn)と路線バス、RegioTram(RT)などの公共交通が整っています。主要な観光スポットへも公共交通でアクセスできるため、市内観光の移動に便利です。
カッセルと北ヘッセン地域の公共交通はNVV(北ヘッセン交通連合)の運賃エリアに含まれ、トラムやバスなどで共通のチケットを利用できます。
🌐 市内交通の時刻表やチケット料金は、NVV(北ヘッセン交通連合の公式サイト)(英)で確認できます。
ドイツ全土の公共交通機関が定額で使える「Deutschlandticket(ドイチュランドチケット)」ももちろん利用可能です。こちらの記事で詳しく紹介しています。
カッセル街歩きモデルコース
午前(もしくは半日)市内観光コース
- 中央駅からフリードリヒ広場へ移動
- フリデリツィアヌム美術館
- オランジェリー
- カールスアウエ公園
- シェーネ・アウスジヒト通り
- ノイエ・ギャラリー
- グリムヴェルト・カッセル
午後 世界遺産ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエを巡る
ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエへ移動後、①か②
①水の芸術/Wasserspiele 開催期間:5月1日~10月3日の水曜・日曜・祝日
②ヴィルヘルムスヘーエ城
レーヴェンブルク
カッセル市内の見どころ
中央駅(Kassel Hbf)からフリードリヒ広場(Friedrichsplatz)

中央駅から徒歩でも可能ですが、約750m(徒歩15分前後)あるので、公共交通機関を使うのがおすすめです。市電(RegioTram)のRT1またはRT4に乗り、Friedrichsplatzで下車します。所要時間は約8分です。
フリードリヒ広場にはヘッセン=カッセル方伯フリードリヒ2世の像があるので、興味のある方は見学してください。
フリデリツィアヌム美術館(Fridericianum)

フリードリヒ広場に面して建つフリデリツィアヌム美術館は、1779年にヘッセン=カッセル方伯フリードリヒ2世によって建てられた、世界で最も古い公共美術館のひとつです。1955年に始まった国際現代美術展「documenta(ドクメンタ)」では第1回から主要会場となり、現在もカッセルを代表する現代美術の展示施設として使われています。
常設展示ではなく企画展が中心なので、内部を見学する場合は、その時期に開催されている展示を公式サイトで確認しておくのがおすすめです。
📍住所:Friedrichspl. 18, 34117 Kassel
🌐公式サイト(英)
🕛営業時間:火~日祝 11:00-18:00、木 11:00-20:00、月 定休
🎫 入場料:大人6ユーロ(2026年8月現在)
ドクメンタ(documenta)とは?
documentaは、5年に一度カッセルで開催される世界的な現代美術展です。1955年に芸術家アーノルト・ボーデによって始まり、フリデリツィアヌムをはじめ、市内各所が展示会場になります。会期終了後も作品の一部が街に残るため、カッセルでは現在も過去のdocumenta作品を見ることができます。次回のdocumenta 16は、2027年6月12日~9月19日に開催予定です。

documenta開催期間中にカッセルを訪れると楽しそう!でも、ホテルの宿泊費なども高騰しそうですね。
オランジェリー(Orangerie)

カールスアウエ公園の北端に建つオランジェリーは、18世紀初頭にヘッセン=カッセル方伯カールによって建てられたバロック様式の宮殿です。中央部分はもともとオレンジや月桂樹などを冬越しさせるために使われ、両端のパビリオンや中央のアポロホールは、夏の離宮や祝宴の場として利用されていました。
現在はヘッセン州最大のプラネタリウムが入っています。なお、かつて館内にあった天文・物理学関連の常設展示は、建物の改修工事に伴い現在休館中です。
📍住所:An d. Karlsaue 20A, 34121 Kassel
🌐公式サイト(英)
🕛営業時間:木~日祝 10:00-17:00、月 定休
🎫 入場料:大人8ユーロ(2026年8月現在)
カールスアウエ公園(Park Karlsaue)

カールスアウエ公園は、約150ヘクタールの広大な歴史公園です。1700年頃にヘッセン=カッセル方伯カールによってバロック庭園として整備され、その後18世紀末にイギリス式庭園へと改造されました。現在も当時の水路や並木道、広い芝生などが残っています。
北側には先ほど紹介したオランジェリーがあり、南端には「花の島」と呼ばれるジーベンベルゲン島(Insel Siebenbergen)があります。両者の距離は2km以上あるため、滞在時間に合わせて散策や休憩を楽しみましょう。
📍住所:Auedamm 18, 34121 Kassel-Süd
🌐公式サイト(英)
🕛 開園時間:24時間
🎫 入場料:無料
シェーネ・アウスジヒト通り(Schöne Aussicht)
シェーネ・アウスジヒト通りは、カールスアウエ公園を見下ろす高台に延びる通りで、公園を一望できる眺望スポットです。カールスアウエの広大な緑を上から眺められ、すぐ近くには次に紹介するノイエ・ギャラリーがあります。
この場所はグリム兄弟とも縁があり、現在も残るBellevue 9の家に1824年から1826年まで住んでいました。ほかにもロベルト・ブンゼンや作曲家ルイ・シュポーアなど、カッセルゆかりの著名人がこの周辺に暮らしていました。
📍住所:Schöne Aussicht, 34117 Kassel
詳細は🌐公式サイト(独)でご確認ください。
ノイエ・ギャラリー(Neue Galerie)

ノイエ・ギャラリーは、19世紀から現代までの絵画・彫刻・映像作品などを所蔵する美術館です。建物は1871~1877年にネオ・ルネサンス様式で建てられ、もともとは古典絵画の展示館として使われていました。第二次世界大戦で被害を受けた後に再建され、1976年から現在の名称で公開されています。
館内では、ロヴィス・コリント、マックス・エルンスト、アンディ・ウォーホル、ゲルハルト・リヒターなどの作品を見ることができます。また、カッセルらしく、過去のdocumenta作品を紹介する常設展示「about: documenta」もあります。
📍住所:Schöne Aussicht 1, 34117 Kassel
🌐公式サイト(英)
🕛営業時間:火~日祝 10:00-17:00、毎月第4金曜日 10:00-19:00、月 定休
🎫 入場料:大人8ユーロ(2026年8月現在)
グリムヴェルト・カッセル(GRIMMWELT Kassel)

グリムヴェルト・カッセルは、この地で長年暮らしたヤーコプとヴィルヘルム・グリム兄弟の仕事と生涯を紹介する体験型ミュージアムです。童話だけでなく、兄弟が取り組んだ言語研究や『ドイツ語辞典』、家族やカッセルでの暮らしまで、映像や音声、インタラクティブ展示を使って紹介しています。
最大の見どころは、グリム兄弟が実際に書き込みや訂正を加えながら使用した1812年・1815年版『子どもと家庭の童話集』の本人用作業本です。これらは2005年にユネスコの「世界の記憶(Memory of the World)」に登録されており、館内で実物を見ることができます。
常設展示は25のテーマに分かれ、童話がどのように集められ、世界へ広がっていったのかも楽しみながら学べます。メルヘン街道を訪れるなら、カッセルでぜひ立ち寄りたいスポットです。
📍住所:Weinbergstraße 21, 34117 Kassel
🌐公式サイト(英)
🕛営業時間:火~日祝 10:00-18:00、月 定休
🎫 入場料:大人10ユーロ(2026年8月現在)
世界遺産ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエの見どころ

ベルクパルクは大変広いエリアに跨るので、半日で全てを見ることは難しいです。①と②の2つのコースを組んだので、日程に合わせて予定に組み込んでみてください。
アクセス方法(GRIMMWELTから移動)
まず、GRIMMWELTから徒歩でRathaus停留所へ向かい、市電1番で終点Wilhelmshöhe (Park)まで移動します。その後、コース別にバスに乗ります。
| 出発地 | 下車駅 | バス番号 | 所要時間 | |
|---|---|---|---|---|
| コース① | Wilhelmshöhe (Park) | Herkules | バス23番 | 約15分 |
| コース② | Wilhelmshöhe (Park) | Schloss Wilhelmshöhe | バス24番 | 約2分 |
コース① 水の芸術(Wasserspiele)

水の芸術/Wasserspiele とは
ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエ最大の見どころのひとつが、300年以上の歴史を持つ水の芸術/Wasserspieleです。ヘラクレス像の下から流れ出した水が、カスケードや滝、悪魔の橋、アクアダクトなどを次々と通りながら山を下り、最後は高さ約50mの大噴水へと続きます。
驚くのは、75万リットル以上もの水をポンプを使わず、重力と水圧だけで動かしていること。現在も約300年前と基本的に同じ仕組みで動いており、この壮大な水景観はベルクパルクが2013年に世界遺産へ登録された大きな理由のひとつです。
水の芸術はヘラクレス像の下を14:30にスタートし、水の流れに合わせて観客も徒歩で山を下ります。全行程は約2.3km、200m以上の高低差があり、16時頃に大噴水でフィナーレを迎えます。途中には階段や急な下り坂もあるため、歩きやすい靴で参加しましょう。
主な流れ


14:30 ヘラクレス(Herkules)下でスタート
14:35 大カスケード(Große Kaskaden)
15:05 シュタインヘーファー滝(Steinhöfer Wasserfall)
15:20 悪魔の橋(Teufelsbrücke)
15:30 アクアダクト(Aquädukt)
15:45 大噴水(Große Fontäne)
16:00頃 終了
📍住所:Schlosspark 28, 34131 Kassel-Bad Wilhelmshöhe
🌐 公式サイト(英)
🗓️ 開催期間: 5月1日~10月3日の水曜・日曜・祝日
🕛 開始時間: 14:30
🎫 見学: 無料
現地ツアー
広大な自然の中を水の流れに沿って歩きながら見学するため、初めて訪れる場合はガイド付きツアーを利用すると安心です。ツアーはドイツ語のみですが、各ポイントを効率よく巡りながらWasserspieleを楽しみたい方は、以下のGetYourGuideから申し込んでください。<PR>
コース② ヴィルヘルムスヘーエ城とレーヴェンブルク
Wasserspieleが開催されるのは5月1日~10月3日の水曜・日曜・祝日だけなので、それ以外の日程でベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエを訪れる場合は、次の2スポットがおすすめです。
ヴィルヘルムスヘーエ城(Schloss Wilhelmshöhe)

ヴィルヘルムスヘーエ城は、18世紀末にヘッセン=カッセル方伯ヴィルヘルム9世によって建てられた宮殿です。現在は美術館として利用されており、レンブラント、ルーベンス、デューラーなどの作品を所蔵する古典絵画館が大きな見どころです。中でもレンブラント作品の所蔵数は世界でも有数で、ほかにもティツィアーノやヴァン・ダイクなどが展示されています。
ベルクパルクの中腹に位置し、宮殿前からは広大な公園を見渡すことができます。かつて皇帝一家の滞在にも使われた歴史ある建物で、現在も外観と美術コレクションの両方を楽しめます。
📍住所:Schlosspark 1, 34131 Kassel-Bad Wilhelmshöhe
🌐公式サイト(英)
🕛営業時間:火~日祝 10:00-17:00、月 定休
🎫 入場料:Wilhelmshöhe共通1日券 大人8ユーロ(2026年8月現在)
レーヴェンブルク(Löwenburg)

レーヴェンブルクは、ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエの中に建つ、中世の騎士の城を思わせる人工的な城跡風の宮殿です。見た目は中世の古城そのものですが、実際には1793~1801年にヘッセン=カッセル方伯ヴィルヘルム9世によって建てられました。
内部は要塞ではなく豪華な離宮として造られ、家具や絵画、タペストリー、武器、ステンドグラスなどが展示されています。城内の礼拝堂地下には、後に選帝侯ヴィルヘルム1世となったヴィルヘルム9世の墓所もあります。内部見学はガイドツアーのみで、事前予約が推奨されています。
📍住所:Schloßpark 9, 34131 Kassel-Bad Wilhelmshöhe
🌐公式サイト(英)
🕛営業時間:4~10月 火~日 10:00-17:00、11~3月 金~日 10:00-16:00
🎫 入場料:Wilhelmshöhe共通1日券 大人8ユーロ(2026年8月現在)
おわりに
メルヘン街道の主要都市であるカッセルですが、グリム童話以外にもたくさんの見どころがあり、1日でまわり切るのは難しいです。日程の余裕があれば、ぜひ一泊して2日かけてじっくり見て回りたい街ですね。

近郊のメルヘン街道の町、トレンデルブルクやザーバブルクには、カッセルを拠点にして日帰り旅行が便利です。それはまた別の記事でご紹介しますね。
🏰ドイツ各地の観光スポットや街歩きコースは、他の記事でも紹介しています。人気都市から歴史ある町まで、現地在住の筆者がまとめた旅行ガイドを掲載しています。ぜひ[ドイツ観光案内カテゴリー]もあわせてご覧ください。
画像出典
*1 Von A.Savin – Eigenes Werk, FAL, Link
*2 By Baummapper – Own work, CC BY-SA 3.0 de, Link
*3 Von Gerd Fahrenhorst – Eigenes Werk, CC BY 3.0, Link
*4 By Alraunenstern – Own work, CC BY-SA 4.0, Link
*5 By User: Pedelecs at wikivoyage shared, CC BY-SA 3.0, Link
*6 By W. Bulach – Own work, CC BY-SA 4.0, Link



