『ニーベルンゲンの歌』は、中世ドイツ文学を代表する英雄叙事詩です。その成り立ちは、【ニーベルング伝説】を紐解く|日本で混同されやすい派生作品とその原点で詳しくお話しました。
現在『まいん・どいちゅらんど』では、『ニーベルンゲンの歌』の翻訳プロジェクトを連載中です。それに先駆け、第一部である【第一から第十九の冒険】のあらすじをまとめました。長い物語の大枠がつかめるかと思います。

連載記事が公開される度に、リンクを入れていきますので、是非本文も読んでくださいね。
- ニーベルンゲンの歌 第一部 あらすじ
- 第一の冒険『クリームヒルト』
- 第二の冒険『ジークフリート』
- 第三の冒険『ジークフリート、ヴォルムスへ』
- 第四の冒険『ジークフリート、出陣』
- 第五の冒険『ふたり、初めて出会う』
- 第六の冒険『北の女王ブリュンヒルト』
- 第七の冒険『グンター、花嫁を得る』
- 第八の冒険『ニーベルンゲンの勇士たち』
- 第九の冒険『ジークフリート、吉報を届ける』
- 第十の冒険『二つの婚礼』
- 第十一の冒険『ジークフリート、故郷へ』
- 第十二の冒険『ヴォルムスからの招待』
- 第十三の冒険『再び、ヴォルムスへ』
- 第十四の冒険『王妃たちの決裂』
- 第十五の冒険『裏切りの十字』
- 第十六の冒険『英雄、泉に死す』
- 第十七の冒険『クリームヒルトの慟哭』
- 第十八の冒険『ジークムントとの別れ』
- 第十九の冒険『ラインに沈む財宝』
- おわりに
ニーベルンゲンの歌 第一部 あらすじ
第一の冒険『クリームヒルト』
ブルグントの王女クリームヒルトは、母ウーテ、兄のグンター、ゲルノート、ギーゼルヘルとともにヴォルムスで暮らしている。彼女は、みずから育てた美しい隼が二羽の鷲に引き裂かれる夢を見る。母ウーテは、その隼は将来クリームヒルトが愛する高貴な男性を表し、神が守らなければ彼を失うことになると解き明かす。クリームヒルトはそのような悲しみを避けるため、男性を愛さず結婚もしないと語る。しかし物語は、彼女がのちに勇敢な英雄を夫に迎え、その愛ゆえに深い苦しみを味わう運命を予告する。
第二の冒険『ジークフリート』
ネーデルラントの王子ジークフリートは、王ジークムントと王妃ジークリントの子として、ザンテンで立派に育つ。若くして容姿・力・勇気に恵まれ、多くの国を巡って戦い、数々の武勲を立てた。両親は彼に礼儀と騎士に必要な技芸を学ばせ、父ジークムントは多くの若者とともに彼を騎士に叙する。盛大な祝宴は七日間続き、ジークフリートは参列した人々に気前よく贈り物をし、家臣たちには所領を与える。一方、両親が存命である間は王冠を受けることを望まず、国と人々を守る勇士として生きる姿勢を示す。
第三の冒険『ジークフリート、ヴォルムスへ』
ジークフリートは、ブルグント王国に美しい王女クリームヒルトがいると聞き、彼女を妻に望む。両親は争いに巻き込まれるとして思いとどまらせようとするが、決意は変わらない。彼は十二人の勇士だけを連れてヴォルムスへ向かう。見知らぬ一行の到着に宮廷は騒然となり、ハーゲンはその風格と過去の武勲から彼をジークフリートと見抜き、ニーベルンゲンの財宝を得た経緯や竜との戦い、不死身に近い身体を持つことを語る。丁重に迎えられたジークフリートは、当初グンターに国を賭けた一騎打ちを求めるが、やがて宮廷にとどまる。彼は一年を過ごしてもクリームヒルトとはまだ会えず、一方のクリームヒルトは窓から密かに彼を眺めて心を引かれていく。
第四の冒険『ジークフリート、出陣』
ザクセン王リウデガーとデンマーク王リウデガストが、ブルグントへ宣戦を告げる使者を送る。グンターが対応に苦慮すると、ジークフリートは自ら出陣を申し出て、ブルグントの勇士たちとともに敵地へ向かう。斥候に出たジークフリートはリウデガストと一騎打ちになり、彼を負傷させて捕虜にする。続く大戦では双方が激しく戦い、ジークフリートはリウデガーも捕らえる。二人の王を失った敵軍は敗走し、ブルグント軍は勝利してヴォルムスへ帰還する。戦況を聞いたクリームヒルトはジークフリートの無事を喜び、帰還する一行を心待ちにする。
第五の冒険『ふたり、初めて出会う』
戦勝を祝う盛大な祝宴がヴォルムスで催され、捕虜となった二人の王にも和解の機会が与えられる。クリームヒルトは母ウーテと侍女たちに伴われて人々の前に姿を現し、グンターの命によりジークフリートを出迎える。長く互いを思いながら会えずにいた二人は、ここで初めて言葉を交わし、手を取り合う。ジークフリートは祝宴の間クリームヒルトのそばで過ごし、二人の愛情は深まる。やがて捕虜たちは賠償を約束して解放され、祝宴が終わって諸国の客が帰った後も、ジークフリートはクリームヒルトへの思いからヴォルムスにとどまる。
第六の冒険『北の女王ブリュンヒルト』
グンターは、アイスランドの女王ブリュンヒルトを妻に望む。彼女は槍投げ・石投げ・跳躍の競技で求婚者と戦い、敗れた者を殺すほどの怪力を持っている。ジークフリートは危険を警告するが、グンターがクリームヒルトとの結婚を認めることを条件に協力を約束する。グンター、ジークフリート、ハーゲン、ダンクヴァルトの四人は船で出発する。ジークフリートは自分をグンターの家臣と偽り、ブリュンヒルトにグンターこそ求婚者だと思わせる。彼らはイーゼンシュタインに到着し、命を懸けた競技に臨むことになる。
第七の冒険『グンター、花嫁を得る』
ブリュンヒルトとの競技が始まる。ジークフリートは隠れ蓑で姿を消し、グンターのそばで槍と巨石を扱って密かに力を貸す。グンターは自分一人で戦ったように見せかけて三つの競技に勝ち、ブリュンヒルトは約束どおり彼の妻となることを受け入れる。しかし彼女が多数の家臣をイーゼンシュタインへ呼び集めたため、ハーゲンたちは攻撃を警戒する。ジークフリートは十分な兵力を確保するため、隠れ蓑を使って船を離れ、ニーベルンゲンの国へ援軍を呼びに向かう。
第八の冒険『ニーベルンゲンの勇士たち』
ジークフリートは隠れ蓑をまとってニーベルンゲンの国へ赴く。正体を隠したまま城門の巨人と戦い、さらに財宝の番人である小人アルベリヒを打ち負かして自分だと認めさせる。彼は千人のニーベルンゲンの勇士を率いてイーゼンシュタインへ戻り、グンター側の力を示す。ブリュンヒルトは自国の統治を親族に託し、集めた家臣たちに贈り物をして暇を与える。そしてグンターの花嫁として、ジークフリートやニーベルンゲンの兵たちとともにライン川の国へ向けて出発する。
第九の冒険『ジークフリート、吉報を届ける』
帰国する一行に先立ち、ジークフリートが使者としてヴォルムスへ送られる。彼はグンターがブリュンヒルトを妻として連れ帰ることを王妃ウーテとクリームヒルトに知らせる。二人は無事の帰還を喜び、花嫁を迎えるため豪華な衣装を整え、多くの女性や騎士たちとともに出迎えの準備を進める。ジークフリートは歓迎の段取りを整えたのち、再び船団のもとへ戻って一行を案内する。やがてグンターとブリュンヒルトは多くの客とともにヴォルムスへ到着する。
第十の冒険『二つの婚礼』
ブリュンヒルトはクリームヒルトに迎えられ、ヴォルムスで盛大な婚礼が始まる。グンターとブリュンヒルト、ジークフリートとクリームヒルトの二組が結婚するが、ブリュンヒルトは王女クリームヒルトが家臣だと思っているジークフリートと結婚することに涙を流す。初夜、ブリュンヒルトは怪力でグンターを縛り、壁の鉤に吊るす。翌夜、ジークフリートが隠れ蓑でグンターに代わって彼女を組み伏せ、指輪と帯を奪う。ブリュンヒルトは力を失ってグンターを夫として受け入れるが、ジークフリートが持ち帰った指輪と帯は後の争いの原因となる。
第十一の冒険『ジークフリート、故郷へ』
婚礼の後、ジークフリートはクリームヒルトとともにネーデルラントへ帰る。ジークムントとジークリントは二人を喜んで迎え、ジークムントは王位を息子へ譲る。ジークフリートとクリームヒルトは国を治め、やがて息子をもうけてグンターと名づける。一方ヴォルムスでは、グンターとブリュンヒルトの間に息子が生まれ、ジークフリートと名づけられる。十年ほどが過ぎても、ブリュンヒルトはジークフリートをグンターの家臣だと信じたままで、なぜ彼が長く宮廷へ奉仕に来ないのか疑問を抱き続ける。
第十二の冒険『ヴォルムスからの招待』
ブリュンヒルトはジークフリートとクリームヒルトをヴォルムスへ招くようグンターに求める。彼女はジークフリートを依然として家臣と考え、その不在を不満に思っている。グンターは使者をネーデルラントへ送り、親族として祝宴への招待を伝える。ジークフリートたちは使者を手厚くもてなし、招待を受け入れる。クリームヒルトは久しぶりに故郷へ帰れることを喜び、ジークムントも同行を決める。使者が吉報を持ち帰ると、ヴォルムスでは大勢の客を迎えるための盛大な準備が始まる。
第十三の冒険『再び、ヴォルムスへ』
ジークフリート、クリームヒルト、ジークムントは多数の供を連れてヴォルムスへ向かう。道中も立派な装いと隊列で進み、到着するとグンターたちから盛大な歓迎を受ける。ブリュンヒルトはクリームヒルトを表向きは親しく迎え、宮廷では連日にわたって宴会や騎士たちの競技が催される。王妃たちは並んで勇士たちの華麗な競技を見物する。しかし、ジークフリートの優れた姿とクリームヒルトの誇りが、ブリュンヒルトの胸に以前からあった身分への疑念を再び呼び起こし、後の争いへつながる緊張が高まっていく。
第十四の冒険『王妃たちの決裂』
騎士たちを眺めていたクリームヒルトとブリュンヒルトは、それぞれ自分の夫こそ優れていると言い争う。ブリュンヒルトはジークフリートをグンターの家臣と主張し、聖堂へ入る際にはクリームヒルトに自分より後ろへ下がるよう命じる。侮辱されたクリームヒルトは、ブリュンヒルトを実際に組み伏せたのはジークフリートだと暴露し、その証拠として指輪と帯を見せる。ブリュンヒルトは深く傷つき、グンターやハーゲンらは王妃の名誉を守るためジークフリートを追及する。ジークフリートは自分が秘密を漏らしたことを否定して誓いを立てるが、ハーゲンは復讐を決意する。
第十五の冒険『裏切りの十字』
ハーゲンはブリュンヒルトへの侮辱を晴らすため、ジークフリート殺害をグンターに持ちかける。偽の使者を送り、再びザクセンとデンマークとの戦争が始まったように装う。出陣を信じたクリームヒルトは、ハーゲンに夫を守ってほしいと頼み、ジークフリートの弱点を明かしてしまう。竜の血を浴びた際、背中の肩甲骨の間に菩提樹の葉が張りつき、そこだけが傷つくというのである。彼女はその場所が分かるよう衣服に十字の印を縫う。ハーゲンは秘密を得ると戦争が中止になったと偽り、代わりに狩りへ出かける計画を整える。
第十六の冒険『英雄、泉に死す』
クリームヒルトは不吉な夢を見て夫を引き止めるが、ジークフリートはグンターやハーゲンと狩りへ出る。狩りで彼は多くの獲物を仕留める。食事の際、ハーゲンは酒を用意せず、一行を離れた泉へ誘導する。泉までの競走で先に着いたジークフリートは、礼儀からグンターに先を譲った後、自ら水を飲む。その隙にハーゲンは武器を遠ざけ、クリームヒルトが縫った印を目がけて槍を突き刺す。致命傷を負ったジークフリートは盾でハーゲンに反撃し、裏切りを非難して息絶える。遺体は密かにクリームヒルトの部屋の前へ運ばれる。
第十七の冒険『クリームヒルトの慟哭』
クリームヒルトは部屋の前でジークフリートの遺体を発見し、激しく嘆き悲しむ。傷の位置から夫がハーゲンの策略で殺されたと悟る。ジークムントとニーベルンゲンの勇士たちは武器を取って復讐しようとするが、兵力差を考えたクリームヒルトが制止する。遺体が聖堂に安置されると、犯人が近づけば傷口が再び血を流すという『棺前の試し』が行われ、ハーゲンが近づいた際に出血する。クリームヒルトは彼を公然と告発するが、グンターは盗賊の仕業だと主張する。盛大な葬儀の後、ジークフリートは深い悲しみの中で埋葬される。
第十八の冒険『ジークムントとの別れ』
葬儀を終えたジークムントは、ニーベルンゲンの勇士たちとともに帰国することを決め、クリームヒルトにも同行を求める。彼女は当初、夫の国へ戻ろうとするが、母ウーテや兄弟たちは親族のもとに残るよう説得する。とりわけギーゼルヘルの言葉に心を動かされ、クリームヒルトはヴォルムスにとどまることを決める。ジークムントは彼女と別れ、亡き息子を思いながら家臣たちを率いてネーデルラントへ帰る。クリームヒルトはブルグントの宮廷に残るが、夫を失った悲しみとハーゲンへの憎しみを抱き続ける。
第十九の冒険『ラインに沈む財宝』
ジークフリートの死から三年半後、クリームヒルトは兄グンターと和解する。やがて、結婚の朝の贈り物(モルゲンガーベ)としてクリームヒルトに与えられたニーベルンゲンの財宝が、ヴォルムスへ運ばれる。莫大な金銀を手にしたクリームヒルトは、貧しい者にも勇士にも惜しみなく分け与え、多くの支持者を集める。ハーゲンは、彼女が財宝の力で復讐の軍勢を得ることを恐れ、王たちの留守中に財宝を奪う。そしてライン川のロッホハイム付近へ沈め、所在を知る者を限る。財宝を奪われたクリームヒルトは再び深い悲しみに沈み、ジークフリートの死後十三年間をヴォルムスで喪に服して過ごす。
おわりに
本連載では、Karl Bartsch校訂『Das Nibelungenlied』の電子テキストを底本に、各冒険を現代語で読みやすく訳しています。本連載の日本語訳については、著作権は当ブログ運営者に帰属します。

今の目標は、第一部を全て翻訳することです!いずれは第二部も訳していきたいと思っています。がんばりますね!
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